智弁学園主将、屈辱の“目の前の敬遠”で見せた意地 自分を出した唯一の打席
唯一、欲を出した打席、目の前でプロ注目の前川が敬遠され…
「智弁の4番だというプレッシャーは特に感じずに。打順がどこでもつなぐ意識を持ってるんで」
3番にプロ注目の前川右京外野手がいることで、ランナーを置いた状態で打席に立つ機会も多いが、決して自分が決めるという欲を出すこともない。つなぐ意識と併せて打席での積極性も三振が減った理由だと話す。
「監督さんから積極的にということを言われていたので、そういうところかなと思います。追い込まれる前に最初から振ってるんで、ボールを自分のスイングのタイミングで合わせられます。最後のボール球に手を出したりとかは減ったと思います」
そんなチームバッティングに徹する山下だが、唯一「打ってやる」と欲を出した打席がある。近畿秋季大会準決勝の奈良大附属戦。2-0とリードして迎えた5回。ランナーを三塁に置いた追加点のチャンスで、この日4番に座った前川が敬遠され、山下が勝負を挑まれた。
「だいぶ腹立ちました(笑) ネクストにいるときから『やったろう』って」
センターへ弾き返すタイムリーヒットで思わず「よっしゃ」と声が漏れた。
チームのことが最優先。主将になったばかりの頃は自分の練習が思った以上にできないことに戸惑ったが、今は自分の時間を全体練習以外でしっかりと作っている。
「朝6時半に起きて7時半くらいまで素振りして、全体練習終わって、18時~21時くらいまで打ってお風呂入って22時から30分くらい。しっくりくるスイングができるまでやってました」
ルーティン化された「カツカツに自分の時間を使っている」練習の積み重ねが、秋に残した数字につながった。注目の初戦は近畿大会決勝の再現となる大会4日目の第2試合、大阪桐蔭。圧倒的なリーダー力を持つ山下がまとめるチームのベクトルはピタッと一致している。「日本一です」。