プロ注目右腕に惜敗も…鮮烈な印象を残した宮崎商バッテリーが手に入れた自信
2人で初めてとった甲子園のアウトは三振…日高は7回6失点も平松は「ナイスピッチング」
初陣の相手が天理(奈良)に決まってからは2人で常に天理打線をイメージしてブルペンで過ごした。「注目のバッターで瀬(千皓)君とかがいるので、どうやっておさえようという話を常にしています」。
青空が迎えてくれた、宮商52年ぶりの選抜の舞台。二人で初めてとった聖地でのアウトは空振り三振だった。
「初回の内山君の打席が理想の抑え方だった」。甲子園で初めて迎える1番打者を追い込んでからの4球目、そう話す平松が出したサインはチェンジアップだった。「配球がよくて自分と合っていた」と日高も小気味よく小さな的を目掛けて投げていく。
ストレート、スライダー、チェンジアップ、カーブ……。「投げたいボールをわかってくれている」と日高は平松のサインに首を振ることはなく、丁寧に低めを突いていった。
2回に2連打などで2失点、5回に久々にランナーを背負うと平松がマウンドに駆け寄った。「ここまで来たら思い切ってやろう」。肩を並べて、笑顔で空を見上げた。その打者を投ゴロのダブルプレーに打ち取り、ピンチを凌いだ。
7回に失策絡みで4点を失い、日高は7回6安打6失点(自責2)でマウンドを降りた。息のぴったりあった117球。9つもの三振を二人で奪った。試合後、日高が「ピンチでもっと粘り強く投げられるように」と課題を口にすると、平松も「ピンチで粘れるように自信をつけて夏に帰ってきたい」と同じ言葉を並べた。宮崎商業の選抜初勝利を挙げることはできなかったが、最後に平松はこう残した「ナイスピッチングでした!」。
(市川いずみ / Izumi Ichikawa)
市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。