「毎日、夢に出てくる…」中学で日本一、明豊のプロ注目右腕が立つ念願のマウンド

明豊・京本眞【写真:編集部】
明豊・京本眞【写真:編集部】

背番号11で昨年のセンバツ出場予定も…交流試合は故障でスタンド応援

 本当なら、既に甲子園の土を踏んでいたはずだった。

「コロナで去年の選抜がなくなって、その期間に投げすぎて怪我をしてしまいました」。昨春、出場が決まっていた第92回選抜高校野球大会は新型コロナウイルスの影響で中止となった。京本は背番号「11」を貰っていたが、憧れの舞台での登板は夢のまま終わった。

 その間に肩甲骨周辺を故障。夏になっても万全の状態にまで回復しなかったため、8月に行われた甲子園での交流試合はスタンドで観戦した。目指してきたマウンドには一足早く同級生の太田が立っていた。

「素直にすごいなと思ったんですけど、すごいと思っているだけじゃ勝てない。悔しいという気持ちで太田のピッチングを目に焼き付けて、これからは自分がずっとチームのエースになろうと思いました」

 甲子園で見た同級生の躍動が何よりの原動力となった。黙々と1人で投げ続けた。「負けたくないという気持ちが1番強かったんで、新チームが始まってすぐから自分が1番をつけようとやってきました」。その目標はしっかり達成した。

 7か月前に銀傘の下から眺めていた場所に立つ日がやってくる。選抜出場が決まってから高揚感は日に日に高まっているという。「ほぼ全部が野球の夢で他の夢は見ないです。毎日、選抜のマウンドに立っている夢を見ます」。

 夢の中での投球は完璧だ。「だいたいはノーヒットノーランでしたし、ノーアウト満塁で3者連続三振にとった姿もありました」。明豊のエースとして初めて立つ甲子園のマウンドで、何度も頭で描いた投球を披露する。

(市川いずみ / Izumi Ichikawa)

市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。

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