田中将大と全試合バッテリーを組んだ太田光 “相方”の座を掴んだ奮闘劇
石井監督「本人も結果が出て安心していると思う」
公式戦開幕後も当面、田中将の球を捕るのは太田以外に考えられない。石井一久監督は「バッテリーはコミュニケーションを多く取ることで、捕手がそのボールを要求した根拠や、投手がサインに首を振ってそのボールを投げた根拠をお互いに理解できる」と説明。「田中と太田は多くの時間を費やしてきた。このままシーズンに向かってほしい」と期待を寄せる。
課題と言われてきた打撃にも、成長のあとがうかがえる。この日、1点を追う5回2死一塁で、巨人・田中豊の147キロの外角速球を逆方向の右翼席へ放り込む逆転2ラン。これには、次の回に備えてベンチ前でキャッチボールをしていた田中将も、あっけにとられた表情を浮かべていた。6回2死二、三塁では鍵谷から左前2点適時打。オープン戦7試合の通算打率は.353(17打数6安打)に跳ね上がった。石井監督は「打撃コーチといろいろ取り組んできた中で、ここに来てスイングの形、打撃フォームが見えてきた。本人も結果が出て安心していると思う」とうなずいた。
太田は昨季、チーム最多の67試合でマスクをかぶり、リーグトップの盗塁阻止率.333もマークしたが、不動の正捕手とまでは言えない。石井監督は「あまりコロコロ変えるのは好きではない。できれば捕手は1人に決めたい」と話してきたが、先発ローテ要員のうち、岸孝之投手や瀧中瞭太投手は昨季から下妻貴寛捕手と相性が良く、今年のオープン戦でも専らバッテリーを組んでいる。
常時出場するためには、まだ何かが足りない。それをつかむためにも、田中将とバッテリーを組み、日々意見をぶつけ合うことは、願ってもないベースとなるはずだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)