「島田か、仁志か」常総学院“新監督人事”の裏側と期待する“木内マジック”の再来
甲子園初タクトも、往年の“木内マジック”さながらの名采配が光った
第93回選抜高校野球大会は24日、第3試合で常総学院が選抜史上初となる延長タイブレークの末、9-5で敦賀気比を下し、2回戦に駒を進めた。昨夏の茨城独自大会後、佐々木力前監督が退任。昨年11月には、取手二と常総学院で計3度の甲子園大会優勝を果たした恩師の木内幸男元監督が亡くなった。島田直也新監督にとって波乱のスタートの中、つかんだ甲子園初勝利となった。
常総学院は2回、2番・伊藤琢磨内野手の適時打などで4点を先制。その後は終盤に追いつかれ延長戦となるも、両者一歩も譲らず。タイブレークを迎えた延長13回、5番・秋本璃空投手の勝ち越し打などで一挙4点を加え、敦賀気比を突き放した。
就任1年目の島田監督は常総学院卒業後、ドラフト外で日本ハムに入団。選手、コーチ、監督を含め計4リーグ6球団を渡り歩いた経歴の持ち主だが、そんな元プロ監督の手腕はどれほどのものなのか。
この日は8回無死一塁のチャンスで4番・青木良弘内野手にバントを出して得点につなげたり、9回1死一、二塁とサヨナラのピンチを申告敬遠で切り抜けたりと、往年の“木内マジック”さながらの名采配も光った。「島田こそ、木内の再来」。そう最大級の期待を寄せるのは、常総学院の櫻井平理事長。中学時代の島田監督を常総学院にスカウトした、いわば“もうひとりの恩師”だ。
「もともと私が千葉から(常総学院に)引っ張ってきた子。昔から心優しい子で、生徒を怒ったところは見たことがない。常総OBの仁志(敏久)か島田かとなって、最後は人柄で決まった。3か月で甲子園に来るのだから大したもの」。そう言って、櫻井理事長は目を細める。
木内元監督については「とにかく負けず嫌い。ゴルフがうまくて、一緒に行くとハンデをつけてくれるのに、一度私が勝ったら2度とつけてくれなくなった」と語りつつ「島田もそれを見習うべき。年齢的にもこれからで、同じ職業監督としても木内監督と同じ甲子園40勝を目指せと本気で言ってる。使命ですよ。本人は笑ってるがね」と新監督に発破を描ける。
高校時代、木内監督には怒られた記憶しかないと言いつつも「まだミスが多いですが、今日はチームで勝った。よく頑張ったと言ってもらえるかな」と笑顔を見せた島田監督。偉大な恩師に並ぶ大記録への1歩目を踏み出した。
(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)