佐藤輝明の衝撃1号が他球団に与える影響は? 阪神打線への“波及効果”を専門家指摘
バックスクリーン弾で見せつけたパワー「意識しないわけにいかない」
■阪神 9-5 ヤクルト(27日・神宮)
阪神のドラフト1位ルーキー・佐藤輝明内野手が27日、敵地・神宮球場で行われたヤクルト戦で、プロ初安打となるバックスクリーン直撃の1号2ランを放った。ルーキーの打棒は波及効果を生み、チームは連勝スタート。開幕2戦目にして衝撃を与えた規格外の新人は、早くも打線に好影響をもたらしていると専門家は見る。
阪神は26、27日のヤクルト戦で、1番から7番まで同じオーダーを組んだ。佐藤輝は「6番・右翼」で、前の5番を打つのは右の大砲ジェリー・サンズ外野手。後ろの7番は、梅野隆太郎捕手だった。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で捕手として21年間活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「これだけのパワーを見せつけられた以上、相手は佐藤輝を意識しないわけにいかない。非常に気になる存在です。その分、サンズはストライクゾーンで勝負してもらえるケースが増えるだろうし、次の梅野と対戦する時には、燃え尽き症候群とまでは言わないが、ふと気が抜けることもあると思う」と分析する。
実際、サンズはこの2試合で打率.500(6打数3安打)2本塁打3打点。梅野も.444(9打数4安打)0本塁打3打点。佐藤輝の.286(7打数2安打)1本塁打3打点を上回る数字を上げた。「サンズ、梅野の調子がいいのも確かだが、佐藤輝の存在と無関係ではない」と野口氏は見ている。
特に27日の3回には、1死二、三塁から佐藤輝が四球を選び、直後に梅野が右翼線を破る2点二塁打を放った。7回には、2死走者なしから左前打を放った佐藤輝が、続く梅野の初球に相手の隙を突き二盗成功。梅野も左前打で続いた。9回には、1死二塁で佐藤輝は見送り三振に倒れたが、続く梅野の初球に二塁走者・江越が三盗を決め、梅野は2球目をとらえて左翼線へ適時二塁打を放った。
相手にとって佐藤輝はデータが少なく不気味な存在。ただ、佐藤輝の方もオープン戦に比べて厳しさを増した相手の配球に探り探りバットを振っている。野口氏は「阪神には優秀なスコアラー陣がそろっているし、矢野監督も捕手出身で、心強い味方になってくれる。佐藤輝がデータを消化し、今よりも自信を持って打席に入れるようになったら、阪神打線は凄い破壊力を発揮するのではないか」と言う。
豪快なバックスクリーン弾のみならず、逆方向のレフトへの軽打、盗塁まで披露した佐藤輝。野口氏は「決して大げさでなく、近い将来にトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を狙える」と確信した。「打順は当面、今のまま。クリーンアップは来季以降でいいのではないか」と見ているが、打順はともかく、新人が16年ぶりの優勝の原動力となる可能性は大いにありそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)