女子野球は“130キロ”時代目前… あと2キロに迫る森若菜が球速にこだわる訳

観客が「どこから見ても『これは速い!』というボールを投げたい」

 今、森が球速アップに向けて1つのバロメーターとしているのが遠投だ。遠投と球速には相関関係があるという話を耳にしたことがあるという。

「遠投を100メートル投げられたら球速130キロで投げられる、という研究があるそうです。それを聞いた瞬間、『じゃ私、100メートル投げます』と、言いました(笑)。去年遠投した時は93メートルだったので、あともう少し。100メートル投げられたら130キロが出ると信じて、頑張っています」

 130キロの壁を越えたら、常時130キロを投げられる投手を目指す。その想いは、1人のアスリートとして持つ高い意識に支えられている。

「試合を見に来てくださった方々が『これが130キロか』と残念がるようなピッチングはしたくない。やはり横から見ても後ろから見ても、どこから見ても『これは速い!』というボールを投げたいと思います。球速にこだわることは誰でもできることではない。今、私は22歳ですが、30歳近くまで現役を続ける選手もいて、負けていられないなという気持ちになります。若いうちにいろいろと挑戦して、現役中は130キロ以上を投げ続ける投手になりたいと思っています」

 前人未到の道を歩む上で、チーム内にうってつけの見本がいる。男子選手と同じ土俵に上がり、米独立リーグでもプレーした“ナックル姫”こと吉田えりだ。吉田が経験した数多くの「初めて」について話を聞きながら、参考にしているという。女子野球のために、先輩から受け取ったバトンを次に繋いでいきたい。だからこそ「自分が130キロを出して、今後の日本女子野球を背負っていく女の子たちに『こういうことをやったんだよ』と伝えていきたいです」と話す。

 追い求める130キロの世界まで、もう一息。男子が160キロ、170キロを目指すのであれば、女子だって130キロ、140キロを投げられる日は来るはずだ。

「130キロを投げて、(女子野球界の)大谷翔平選手と言われるように頑張ります!」

 近い将来、女子野球界にとって新たな扉を開き、その可能性を大きく広げてくれるはずだ。

(Full-Count編集部)

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