「朝起きてやめたいと思ったらやめる」西岡剛が現役でいる理由…そして引き際
現役でいる必要性「単純に、野球が面白いからでしょうね」
とにかく「挑戦」を好んで選んできた。2020年オフは、豪州ウインターリーグへの参戦も模索。結局コロナ禍の影響で実現には至らなかったが、まだ見ぬ土地、まだ知らぬ人への探究心は底を尽きない。ロッテで日本一を経験し、メジャーの地を踏んだ。日の丸を背負って五輪に出場し、WBCでは世界一の美酒も味わった。それでも、なお言う。
「経験しないと、言葉で伝えることはできませんからね」
不惑が近づく中でユニホームを着続けるのもそう。現役であることでしか得られない経験を、まだ優先したい。「なぜ、やめないのか?」。そんな意地悪なことを聞かれても、平然と笑って言う。
「単純に、野球が面白いからでしょうね。ヒット打ったり、いいプレーをした時の喜び。チャンスで打てなかった時の悔しさ。守ってエラーした時のもどかしさ。それを感じているのが、僕は好きなんでしょうね」
迎えたプロ19年目。30年前の記憶を思い出しながら、ボールを追うと決めた。「小学校低学年のころ、いつも友達と公園で野球をしていました。めっちゃ楽しかった。その時の気持ちで野球をしようと思っています」。予定も、限界も、自分では決めない。
「朝起きて、やめたいなぁって思ったらやめる」。その瞬間が来るまでは、新たな刺激を求めて動き続ける。スピードスターに、ひと休みはない。