彦根東時代は甲子園で9回ノーヒット投球 慶大・増居翔太が操る“140キロの剛速球”

138キロの直球でも、バットが次々と空を切る

 彦根東高(滋賀)時代に2度、甲子園に出場した。圧巻だったのは3年春の花巻東戦。先発した増居は、最速140キロながら9回までに14三振を奪い、ノーヒット投球を続けた。味方の援護に恵まれずに延長戦の末に敗れたが、黙々とキレのある球を投げ込み、三振を奪う姿が印象に残っているファンも多いはずだ。

 身長171センチ68キロと、体が大きくもなければ、球速が特段速いわけでもない。法大の先発が188センチの山下輝(4年)ということもあり、マウンドに立つ姿はより小さく映った。だが、法大の打者からすれば、マウンドに立つ増居の存在は大きく見えたはず。スピードガン表示は130キロ後半~140キロでも、打者は振り遅れ、バットが次々と空を切る。まさに“不思議なボール”だ。

 奪った11個の三振の中で10個が空振り三振。そのうち8個を直球で奪った。最速は144キロだったが、三振を奪った球は139キロから141キロの間。相手打者たちは140キロの“剛速球”にタイミングがまったく合っていなかった。120キロ台のスライダー、110キロ台の緩いカーブも織り交ぜ、ここぞの場面でクイックも使って翻弄した。

 堀井監督も「(直球が)非常にキレていました。相手が嫌がっていた」と称賛。本人はその直球について「よく言われるんですけど、僕はあんまり認識していなくて……体が華奢だからそう見えるのかなと思っています」と謙遜したが、誰もが認める増居の“武器”であることは間違いない。

 これでリーグ戦通算3勝目。先発では初の勝ち星となった。「7回まで投げられて、自分の中では価値のある1勝になったかなと思います」。10日に先発した森田晃介(4年)に続き、今後も2試合目の先発を任されることが予想される。春季リーグのマウンドで、魔法の直球を操る左腕の投球から目が離せない。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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