開幕戦で感じた緊張感、独立LとNPBの違い… 元燕&楽天・由規が独占手記で綴る現状

若手とも積極的にコミュニケーション「NPBを身近に感じてもらえたら」

 BCリーグでの開幕は僕にいろんなものを見せてくれました。決してスタッフも多いわけではない。球団スタッフの方は球場周りの設営、チアの子はダンスパフォーマンスの準備、僕たちは野球の準備はもちろん、スポンサーバナーの旗を外野フェンスに設置したりもする。今までは全部そういうのをやってもらった環境でプレーにだけ集中するという形だったのが、自分たちで準備をすることでいいイメージを持ちながら試合に臨めたかなと思っています。こういう感じでお客さんが入ってくれて、試合が始まっていくんだろうなという流れが見えたというか、それが独立、BCリーグの特権というか、独特の感情なんだろうなと思いました。

 NPBとの違いで言うと、チームによるとも思いますけど僕たちはホームグラウンドがないので、球場に荷物を置いておくということもないんです。今日はここですと、前の日に連絡がきて練習に行く。ある程度、ひと月の予定表は出るんですが。野球道具は毎回持ち帰って、全部トラックに積んで、マネジャーがそのトラックを運転して、下ろすのも入れるのも自分たちでやる。ホームグラウンドがあるといろんなことがまた違うのかなとも思いますね。

 若いチームメートとも雰囲気良くやれていると思っています。気を遣わせるのも僕は絶対嫌だし、そういうのはプレーに出るから。野球以外のことでもコミュニケーションを取るようにしています。質問もしてきてくれて、自分はアドバイスするというより経験したことを話す感じですが、やっぱりNPBに関して聞かれることが多い。先発はどういう調整しているんですかとか、登板前はどんなランニングしているんですかとか、スピードを出すにはどんなことを意識していますかとか。

 僕だけじゃなくてNPB出身者はBCリーグにたくさんいるので、そのプレーを見ながらNPBを身近に感じてもらえたらいいなと。もしかしたらNPBに行けるかもしれない、という夢を具体的に持ってもらったりして。簡単に考えるという意味ではなく、自分たちが今何をしなければいけないのかが明確になってくると思うので。

 そんな後輩やチームメートとNPBの試合を観に行きたいなとも思っています。自宅でも試合はたくさん見ます。ヤクルトの奥川くんは、背番号11ということもあって親近感もあるというか、重ね合わせて見てしまうところもあるので頑張ってほしいなと思っています。もちろんNPBに戻りたいという気持ちでやっていますけど、今どこにも属していないから、何も考えず球場に観に行けるかなという楽しみもあって。リハビリ中に観に行ったこともあるけれど、なんかここで見てていいのかな……という気持ちもあったし。コロナ禍で行っていいのかという難しいところもあるけれど、いつか叶えてみたいなと思っています。

(新保友映 / Tomoe Shinbo)

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