互角の投げ合いから6回に一転… DeNA上茶谷と巨人戸郷の明暗はどこで分かれた?

巨人戸郷は6回110球も1失点の粘投を見せる

 三浦大輔監督は試合後「先制点こそ取られたが、それ以降は両コーナーにしっかり投げて踏ん張っていた。ワイルドピッチは力が入り過ぎたのかなと思うが、結果としてあれが大きかった」と評した。

 さらに上茶谷は、大城を四球で歩かせた後、香月に初球の145キロのストレートを捉えられ3ランを被弾。続く吉川にまで、2球目のストレートをバックスクリーン右の中堅席へ運ばれた。思わぬ形で勝ち越し点を許し、気落ちしていたとしても無理はないが、その時点でスコアはまだ1-3。試合の展開からいえば、その後の2本塁打の方が痛かった。三浦監督も「切り替えができていなかった。(2点を勝ち越された時点で)ゲームセットというわけではなかったのだから、なんとかしてほしかった」と苦言を呈さずにはいられなかった。

 一方の戸郷も、同点で迎えた3回無死一塁で、前の打席で本塁打を打たれている牧に対し、カウント0-2から4球目のフォークが暴投となり、得点圏に走者を背負う場面があった。それでもあえて5球目、6球目にもフォークを続け、牧を空振り三振に。続くオースティン、佐野も連続三振に仕留め、ボルテージを上げた。味方が大量点を奪った直後の6回にも、1死から佐野に中堅フェンス直撃の二塁打を浴び、2死後に宮崎に四球を与えて一、二塁のピンチに陥ったが、倉本をフォークで遊ゴロに仕留めた。6回110球の“苦投”ながら1失点でしのぎ切った。

 24歳の上茶谷は東洋大からドラフト1位で入団し3年目。1年目に7勝6敗、防御率3.96の好成績を挙げたが、2年目の昨季は右肘の故障にも悩まされ2勝3敗、4.12と下降。今季は3試合0勝2敗、7.80の苦渋のスタートとなった。一方、21歳の戸郷は宮崎・聖心ウルスラ学園高からドラフト6位での入団だったが、2年目の昨季、新人王こそ逃したものの9勝6敗、2.76の活躍でブレーク。この日は今季4試合目の先発で2勝目(1敗)を挙げ、防御率2.92と上々だ。“雑草育ち”の戸郷が、追い込まれた場面で粘り強さを見せつけた格好だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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