三拍子揃った日大三の背番号8 超えなくてはならないノーノー投手“父の壁”
走攻守で活躍に相手監督も「流石だな」
高校野球の春季東京都大会は18日、ダイワハウススタジアム八王子で準々決勝3試合が行われた。日大三は、6-3で明大中野八王子に逆転勝ち。1番を担った星憂芽(ほし・ゆうが)外野手(3年)が3安打2打点をはじめ、積極走塁でも躍動し、チームを準決勝に導いた。
2回表、味方のエラーが絡んで1点を先制され、なおも2死二塁の窮地。明大中野八王子の福本真二外野手(3年)が放った打球は、中堅方向に飛んだ。「風を考えられていなかった」と、星はグラブに当てたが落球。記録はヒットとなったが、その後さらに2点を失った。
それでも、すぐにバットで挽回した。直後の2回裏、1死二塁から中前へのタイムリーで2点差に。続く齋藤広空内野手(3年)の右中間への2点適時二塁打につなげ、試合を振り出しに戻した。
さらに4回には足でも魅せた。2死一、三塁から右前にしぶとく転がすと、「ライトがゆっくりボールを捕りに行っているのが見えた」と迷わず二塁を陥れた。適時二塁打となり、勝ち越しに成功。「1番打者なので、常に次の塁を狙うことは意識しています。そうすることで味方がついてきて、相手にもプレッシャーになると思います」と日ごろの意識を口にする。小倉全由監督も「星には出たら二盗、三盗を狙っていけと常に言っています。3球目には三塁にいろと。良い走塁だったと思う」とうなずく好走塁だった。
リードオフマンの勢いは、守備にも現れた。9回1死から左中間に抜けそうな当たりを好捕。相手の追随を許さなかった。「2回の反省を生かして、1球ごとに外野で風の向きを確認し合っていました」。走攻守全てでの奮闘に、明大中野八王子の椙原貴文監督も「流石だな」と舌を巻いた。
父・幸一さんは埼玉・春日部工時代に県内の公式戦でノーヒットノーランを達成した元投手。ポジションは異なるが、父を超えるべく甲子園を目指す。集大成の夏に向け、背番号8は充実の春を過ごす。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)