新庄剛志氏、17年越しの恩返し…思い出の長野で“ノーギャラ始球式”実現の舞台裏
2004年に日本球界復帰の舞台を作ってくれた“恩人”への思い
まだ風に冬の面影を残す長野の地に、真夏のようにまぶしい男がやってきた。ダークグリーンのロングコートにサングラス、そして黄金に輝くグラブ。グラウンドに足を踏み入れた新庄剛志氏が、笑みを絶やさず球を投げる。独立リーグ「ルートインBCリーグ」の信濃グランセローズ-新潟アルビレックスBC戦の試合前。実現した始球式には、恩人への感謝の思いが込められていた。【小西亮】
「いやー、本当に来てくれるなんてびっくりですよ。すごく嬉しかった」
信濃球団の相談役を務める三澤今朝治氏は、目尻のしわを深く刻んだ。自身こそ、今回のきっかけとなった張本人。日本ハムのチーム統括本部長だった2004年、北海道移転に合わせてメジャー帰りだった新庄氏の獲得に尽力した。2006年以降は会っていなかったというが、突如訪れた15年ぶりの“再会”。ひとつの記事が、2人を引き寄せた。
“新庄劇場”の舞台裏を三澤氏が振り返る記事を、3月中旬にFull-Countで掲載。Web上で読んだという新庄氏は心を動かされ、「三澤さんにはお世話になった。何か恩返しがしたい」と即座に行動に移したという。当初は4月10日の開幕戦に来場する案もあったというが、「せっかくなら縁の場所で」と企画。長野オリンピックスタジアムで試合が開催される18日に合わせた。