「このままでは野球界は衰退する」批判は覚悟…西岡剛が敢えて語る“球界改革”

時代とともに変わる価値観「厳しくやるだけでは…」

 さらに、未来を見据えた問題にも目を向ける。選手への指導も、そのひとつ。「厳しくやるだけでは、若い子たちは伸び伸びできない。もう時代が違うことを分からないといけない」。西岡自身、いま身をもって感じている。2019年からプレーするルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスでは、20歳前後の若い選手が多い。正直、自らが培ってきた価値観では理解しづらい言動もある。ただ、それを否定する権利はない。「僕らが彼らに合わせていくというのも大事だし、彼らから学ぶことも多い」と言う。

 独立リーガーとなって3年目。華やかなNPBとは一線を画した現実を目の当たりにしてきた。「ここまで独立リーグを続けてきたことはすごいし、スポンサーの方々のおかげでできていることは感謝しないといけない」と理解はする。ただ、現状からさらに発展していくために敢えて課題を挙げる。

「“プロ”という名がつくなら、バイトをしながらやる環境ではダメ。家族を持ってでも生活を続けられるリーグにしていかないといけない。それが無理なら、アマチュアでいいという話になる」

 チームメートの若手たちはNPBを目指し、自らを日々追い込む。ただ、一歩グラウンドを出ると、500円でいかに食事を済ますかを考えている。「選手にとって一番大事なのは、トレーニングした後の補給と休息。それが十分にできない環境は良くない」。プレーの対価をもらうのがプロ。本質的な問題から目を背けるべきでないという。

 こうも次々と持論を発信するのは、なにも不満や批判からではない。「野球って、めちゃくちゃ面白いですからね。だから、今のままではもったいない。野球界全体が、そろそろ変わっていかないといけない時期」。きっと批判もある。反対意見もある。現実はそんなに簡単じゃない。でも、見過ごしてはいられない。

「今すぐに変わるのは無理だと分かっています。でも僕が50歳、60歳になった時『あぁ、変わったな』と思える野球界であってほしい」

 野球人・西岡剛は、切にそう願っている。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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