デビュー戦は11のアウトを全て三振 前田健太、千賀滉大らを彷彿させる台湾の20歳右腕
最速157キロ&平均150キロ、スプリットチェンジが武器
そして3月28日、本拠地の天母球場で行われた富邦ガーディアンズ戦に中4日で先発すると、またしても三振の山を築いていった。4回まで1安打8奪三振。この時点で55球を投げていたが続投し、初めて5イニング目のマウンドに立った。その5回、先頭打者を三振に仕留めた後、一、二塁のピンチを招いたが、高校の先輩である戴培峰を150キロで三振に仕留めた。ここで上限の70球に達したため降板。この時点で2-0でリードしており、あと1人抑えれば勝利投手権利を得られる場面だったが、笑顔でマウンドを後にした。4回2/3を2安打、2四死球、10奪三振、無失点という内容だった。
デビューから3試合で12回1/3を投げて8安打、3四死球、26奪三振(奪三振率18.92)、防御率0.73という驚くべき数字を叩き出した徐若熙。最速157キロ、平均球速約150キロの直球が投球の軸だが、高い奪三振率を支えているのがスプリットチェンジだ。昨年10月に郭勝安投手コーチのアドバイスで覚えたというスプリットチェンジは、握りはかつて投げていたというフォークと同じながら、フォークのように意識して挟んで落とそうとはせず、ストレートのように素直に投げるのだという。
平均135キロ前後と一定のスピードがあり、ベースに近いところで変化するため見極めが難しく、横への変化も大きいことから特に左打者に有効なボールとなっている。初戦の11奪三振のうち左打者から9つの三振を奪ったが、このうち6つがスプリットチェンジだった。
他球団の首脳陣も賛辞を惜しまない。中信兄弟の林威助監督は打者から踏み込み足の足の裏が見える徐若熙のフォームについて、千賀滉大(ソフトバンク)、山岡泰輔(オリックス)、さらには前田健太(ツインズ)らの名前も挙げ、「股関節の使い方が日本の投手のようだ」と指摘。柔軟な股関節が直球の伸びを生んでいると評価した。そして、「将来、日本でプレーする可能性もある」とさらなる成長を期待した。