14イニング14四死球の制球難は克服? 西武の“第2エース”が掴んだ先発復帰の兆し
「先発と負けている時に投げるのとでは違う」と言いつつも復調を確認
■ロッテ 5ー2 西武(29日・メットライフ)
西武は29日、本拠地メットライフドームで行われたロッテ戦に2-5で敗れた。先発の伊藤翔投手が1回も持たず、1/3回2安打3四球4失点でKO。収穫を挙げるとすれば、2番手で登板した松本航投手が5回2/3を5安打5奪三振無四死球1失点に抑え、先発復帰へ向けて猛アピールしたことだ。
伊藤は初回、先頭の荻野を四球で歩かせると、続くマーティンに右翼席上段へ先制10号2ランを被弾。その後も1安打2四球を許して相手の勢いを止められず、結局1死を取っただけでマウンドを降りた。
その伊藤に代わり、1死一、三塁の場面で登板したのが松本だった。こちらは開幕ローテ入りを果たしていたが、最初の3試合で計14イニング14四死球の制球難を露呈。中継ぎに降格し、この日が今季4試合目のリリーフ登板だった。代わり端に高部に詰まった当たりの中前適時打を許したが、続く藤岡をカットボールで二ゴロ併殺打に仕留め、胸を張ってベンチに戻った。
2回2死走者なしの場面では、本塁打王争いを独走するマーティンに真っ向勝負を挑む。4球全てがストレート。最後はカウント0-2から、この日最速の149キロで空振り三振に切って取った。4回には2死から中前打で出塁した柿沼を、すかさず牽制球で刺すシーンも。5回には1死二、三塁から安田の中犠飛で1点奪われたが、最少失点にとどめた。82球の熱投は、先発復帰へ向けて合格点の内容。何より無四球で乗り切ったことに意義がある。
辻発彦監督は試合後、「こればかりはわからないよ。先発と負けている時に投げるのとでは違うから」と苦笑しつつも「スピードが出ていたし、腕を振って投げられていた。投げっぷりはだいぶ良くなってきたよね」と評した。「先発復帰? もちろん考えていますよ。そのためにそうしている(中継ぎで投げさせている)のだから」と強調する。
2018年ドラフト1位で日体大から入団し、3年目を迎えた松本。昨季は被本塁打がリーグワーストタイの19本、与四球が同2位の56に上った。それでも今季は開幕2カード目の初戦となった3月30日の日本ハム戦の先発を任された。いわば開幕投手の高橋光成に次ぐ第2エース扱いだったが、相変わらず制球難の課題が重くのしかかっている。
松本は「しっかり準備して、気持ちを整えてマウンドに上がりました。自分本来のボールを投げることに集中していました。球自体は良かったと思います」と手応えありげだが、先発でもこの日と同じ精神状態でマウンドに上がれるかどうかが鍵になりそう。首脳陣は大器の成長を切望している。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)