どん底だった3・4月、DeNAナインは何を考えていたのか…「勝てる試合が増えていくと」
戸柱はプロ6年目で初の1試合2発「久しぶりにバットの芯に当たった」
実際、開幕直後のチームは、打線の中軸を担うオースティン、ネフタリ・ソト内野手の両外国人がコロナ禍で来日できず、投手陣もエースの今永昇太投手が昨年10月に左肩を手術した影響で出遅れ、勝てる陣容ではなかった。10連敗を喫しても、ジタバタすることもギスギスすることも落ち込むこともなく、巻き返しのチャンスが来ることを信じて、日々の課題と向き合ってきた。
過度に落ち込まず、前を向く。「危機感が伝わってこない」との声がある一方、それこそDeNAナインの逞しさの象徴でもある。オフに巨人から移籍してきた田中俊太内野手も、チーム関係者に「DeNAの皆さんは、連敗中も雰囲気が全く変わらないところが凄い」と話し、感心していたという。
2日には、戸柱恭孝捕手も打撃でプロ6年目にして初の1試合2本塁打を放った。試合前の時点で今季打率.130の不振だっただけに、桑原と一緒に上がったお立ち台では「久しぶりにバットの芯に当たったので、チームメートのみんなが盛り上がってくれたと思います」と笑わせた。桑原は「戸柱さんも、僕と同じ気持ちだったと思います。マスクをかぶる試合で(リードなどで)苦しむ姿を見てきました。戸柱さんも少し鬱憤を晴らせたというか、今後につながると思います」と胸中を代弁した。
戦力が足りないシーズンも少なくない中、心折れることなく秘かに闘志を燃やし続けてきた。それがベイスターズの流儀なのかもしれない。それを誰よりも体現しているのが、現役投手時代に172勝184敗と喜び以上に悔しさをかみしめながらエースとしてチームの前面に立ち続けた三浦監督だろう。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)