打率1割台でも「4番にいて当然」 明大2年生の主砲に監督の信頼が揺るがないワケ
1年秋から明大の4番に座る上田希由翔がマルチ安打
東京六大学野球の春季リーグ戦が15日、神宮球場で行われ、明大が早大に8-5で勝利した。この日は3週間ぶりの有観客試合。前週までの静けさが嘘のように、外野席から鳴り響く応援と、詰めかけた六大学野球ファン約4000人の熱気が溢れたグラウンドで、2年生の4番・上田希由翔(きゅうと)外野手が2安打3打点と奮起した。負ければ優勝の可能性が消滅する大事な一戦で、なんとか踏みとどまった。
今季のリーグ戦全試合で4番に座っている上田。3回2死一、二塁で打席に入ると、早大のエース・徳山壮磨投手(4年)の外角直球にバットを合わせて中前適時打に。6回にはサウスポーの2番手・森田直哉投手(4年)の高めに浮いた変化球を捉え、右中間を切り裂く2点適時三塁打を放ってみせた。
高校時代は2年生から4番に座り、愛産大三河を22年ぶりの夏の甲子園に導いた。高校通算46本塁打を誇る左のスラッガーで、183センチ92キロの体躯から、柔らかいバッティングで広角に強烈な打球を放つ。大学進学後も、1年の秋季リーグで全10試合中9試合で4番に座り、打率.344、1本塁打7打点と結果を残した。しかし今季は、初戦の東大戦で2安打するも調子が上がらず。打率は1割台と苦しんでいた中で飛び出したタイムリーだった。
「自分の思ったような結果がなかなか出ず、我慢する時期が続いていたんですけど、1本出てホッとしています」
ただ、結果は出ずとも田中武宏監督の信頼は揺るがなかった。「リーグ戦始まるまで、チームで1番打ってますし、ホームランも4、5本打っている。バッターは波がありますから、1番高いところで(リーグ戦に)入ったので落ちてくるかなと。練習をする子ですし、僕が決めなくてもみんな納得。(4番に)いて当然の選手です」。不調でも起用し続けた理由を明かす。
明大は現在4勝3敗で3位につけ、まだ優勝の可能性が残っている。「期待された中でしっかり結果を残したいです」と、2年生の主砲は残り3試合での活躍を誓った。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)