月額890円でチーム応援、中部地区の女子野球発展へ 「東海NEXUS」が仕掛ける試み

メディア掲載のプレー写真はオンラインサロンの写真部員が撮影

 ユニークな取り組みも行っている。昨年、月額890円のオンラインサロンを立ち上げた。参加すると、特別な情報を得られるほか、イベント参加やラジオの公開収録、グッズ制作などに関わることができるという。「クラウドファンディングが一番手っ取り早いのかもしれませんが、せっかく一からチームをつくるので、日本一になる過程をみんなで楽しみたいと考えました」と野口代表は語る。

 メディアに掲載するプレー写真はオンラインサロンの写真部員が撮影したものを活用し、ファンに最大限楽しんでもらう。同時に、選手にも感じてもらいたいことがある。「地域貢献や企業貢献、ファン貢献をすることによって、野球ができる環境を自分たちで作っていく過程を間近で感じてもらえたら」と野口代表は狙いを明かす。

 今年スタートしたファンクラブも出足好調だ。年会費5000円のプラチナ会員は、受付開始から1週間で定員の30人に到達。只埜榛奈主将らプロで活躍していた6選手には元々の固定ファンがいる。さらに、愛知ディオーネの公式戦で一宮市営球場が超満員になったことがあるという土地柄も追い風になった。

 地域に根差した活動も実を結びつつある。地元のバッティングセンターとタッグを組んだ野球教室を月2回開催。選手自ら運営し、子どもたちはもちろん、その親までファンになるケースも多い。ファンクラブ会員は、地元の愛知県や一宮市の比率が高く、地域から愛される存在になりつつある。

 目指すのは、日本一のチーム。将来的には、トップチームの下に、セカンド、ユース、アカデミーとピラミッドの裾野を広げる考え。「野球を諦めてほしくないという思いが軸にあります。本気でやりたい人や楽しみたい人、いろいろな人たちの受け皿になりたいですね。今は、トップチームしかないので、このチームを日本一にすることを目指しています」と碇監督は力を込める。

 今年発足した中部女子野球連盟では、碇監督が理事長、野口代表が事務局長を務める。地元の中日新聞社、中日ドラゴンズが後援するセンターリーグを関東、関西に続くリーグに成長させていくことも使命になる。「新たに部をつくる学校が現れてほしいですね。これまでは大会がないために関東や関西に就職する子もたくさんいたので、そういった子たちが戻ってきてくれたらとも思っています」と野口代表。女子プロ野球界で様々な経験をした2人が描くビジョンが、未来を明るく照らす。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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