“師”の言葉で引退を翻意 侍J女子代表に選出された只埜の“運命”を変えた誘い
日本代表として「後輩に伝えるためにも学んでいきたい」
第2の野球人生で、初の日本代表入りも果たした。プロ時代には、自チームでのポジション獲得に必死で日本代表について考えたこともなかった。「(所属)チームを離れたくない」と代表につながるテストも受けなかった。
アマチュアになり、昨年12月に代表選考合宿に参加する機会に恵まれた。「自分がもし選ばれたら、できたばかりの東海NEXUSという名前が表に出るというのが一番にありました」とチームの知名度アップも兼ねての挑戦だったが、そこで大きな刺激を受けた。お互い代表入りを争うライバルのはずなのに、紅白戦でアドバイスしあったり、真剣に意見を交わす光景が新鮮だった。
日本のトップレベルの選手たちの意識の高さを目の当たりにして「あの場所に来ているのは、下の選手を引っ張っている人たち。学ぶことがたくさんあって、私もチームに戻った時に生かせるなと思いました」と目を輝かせる。
当初昨年行われる予定だった第9回WBSC女子野球ワールドカップは、コロナ禍で延期された。開催時期は未定だが、7連覇を目指すチームの一員として戦うことを楽しみにしている。「NEXUSも日本一になることを目標にしています。後輩たちに伝えるためにも、しっかり学んできたいです」と力を込める。
代表選手20人のうち、東海地区所属チームから選出されたのは只埜ひとりだけ。野球の楽しさを思い出させてくれた碇監督に恩返しするためにも、世界最強の日本代表からどん欲に吸収し、チームと地域に還元する。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)