「優勝候補は阪神とロッテ」 球界OBが読み解く2年ぶりの交流戦の行方
「セ・パの差は基本的に発掘力と育成力の差」
一方、ロッテは12球団最多の215得点を誇り、打線が活発だ。ただ、正捕手の田村龍弘捕手が左太もも裏肉離れで4月28日に戦線離脱したのに続き、柿沼友哉捕手もPCR検査で陽性判定を受けて離脱。野口氏は「スタメンマスクが増えた佐藤都志也、試合終盤に“リリーフ捕手”として出場することが多い江村直也がどれだけ踏ん張れるかが鍵」と見ている。
交流戦は今更言うまでもなくパ・リーグ球団が過去15回中12回で最高勝率をマーク。セ・リーグ球団の合計勝利数がパ・リーグ球団を上回ったのは、2009年の1度しかなく、リーグ格差が顕著だ。加えて今季のパ・リーグは首位から5位までが5.5ゲーム差以内にひしめく大混戦。野口氏は「言い方は悪いが、今季のパ球団は『セ球団相手に取りこぼしていられない』と必死にくる。セ球団にとっては例年以上に厳しい状況です」と指摘する。
日本シリーズもパ球団が8年連続で制していることから、セへのDH制導入を求める声が上がるが、野口氏は「セ・パの差は基本的に、発掘力と育成力の差。ドラフトでのクジ運もあって、パにいい投手が集まり、それを打とうと努めるうちに打力も向上してきた。DH制の有無はほんの小さな部分だと思いますし、仮にセに導入しても、そこに外国人選手を連れてきて当てはめるのであれば意味がありません」と言う。
好調の阪神を筆頭に、パ・リーグ球団にどう対抗していくか。2年ぶりに行われる交流戦。果たしてどんな戦いとなるか、楽しみだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)