阪神佐藤輝、3人目の“新人本塁打王”はある? OB捕手が分析「驚いたのは1発目」

悠々とダイヤモンドを一周する阪神・佐藤輝明【写真:荒川祐史】
悠々とダイヤモンドを一周する阪神・佐藤輝明【写真:荒川祐史】

新人本塁打王には1958年に長嶋茂雄、59年に桑田武が輝いている

 3回の第2打席では、内角攻めで空振り三振(ウイニングショットは膝元のスライダー)に仕留めたが、「厳しい言い方をすれば、打たれてからやっても遅い」と野口氏。さらに、インコースへ投げればいいというものではなく、甘くなれば第3打席のように佐藤輝のスイングの餌食になるのである。

 野口氏は9回の決勝弾でも、西武バッテリーの配球に疑問を呈する。1球目は内角低めのスプリットで空振り。2球目のスプリットが外角低めに外れた後、3球目はほぼ同じコースのスプリットを空振り。カウント1-2と追い込んだ。「3球目までスプリットに全くタイミングが合わず、真っすぐ待ちであることが明らかでした。追い込まれてからはなおさら、あれだけの球速を誇るギャレットに対して変化球を待てるわけがない。そこで内角を狙った真っすぐが甘くなり、打たれた。佐藤輝にとっては思う壺だったでしょう」と分析した。

 もちろん、逃さず本塁打にした佐藤輝の精度が何より凄い。仮に野口氏が現役捕手として対戦するとすれば、「内角をぼんぼん突いた上で最後の最後は、内角を続けるか、一転して外角に落ちる球を配するかの判断でしょうね」と思い描く。

 シーズンはようやく2か月を経過したばかりだが、佐藤輝が本塁打王を獲得すれば1958年の長嶋茂雄(巨人)、59年の桑田武(大洋=現DeNA)に続いて新人では史上3人目の快挙となる。野口氏は「こればかりはまだ予想がつきませんが、固め打ちができることがわかった以上、資格は十分ある。開幕前から有力候補と見られていた岡本、村上、オースティン(DeNA)ソト(同)らと肩を並べる存在になった。それだけでも凄いです」と見る。どうやら今季は最後の最後まで、サトテルから目を離せそうにない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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