「否定をしない」会議が生むアイデア 野球指導にも通じるメーカーの挑戦

新商品を生む企画会議【写真提供:フィールドフォース】
新商品を生む企画会議【写真提供:フィールドフォース】

発案したら商品化、多い時は月に8個の新商品が生まれる

 折り畳めて運べる打撃ネットや、1人で捕球練習、送球練習ができるものなど、実に300種類以上のアイデア商品を生み出してきた野球メーカーの「フィールドフォース」。その中でも代表・吉村尚記さんが発案した「壁ネット」は野球環境の悩みを解決する大人気商品になっている。これらの無尽蔵のアイデアは、毎週行われる社内会議に秘密があった。

「1か月最低3つの新商品を世に送り出す」。これが社内での取り決めだ。多い時では月に8個もの新商品が出ることもある。尽きないアイデアの数々は、会議でのある“ルール化”によって導かれたものもある。

「勇気を出して提案したアイデアに批判と否定はダメ。否定するならば、それ以上の意見を出しなさい、と。意見がなかったら、とりあえず作ってみます。私自身も、出したのに全く売れないとか、失敗したことはたくさんある」

 週1回、行われる企画会議。発案すれば商品化されるため、社員は本気で様々なアイデアを提案する。「壁当てが出来ないなら、壁を作ってしまおう」と提案された「壁ネット」は、現代の野球環境を一新する大人気商品になった。

 アイデアが生まれるのは、吉村さんに限ることではない。小学生の頃から野球をしていた女性社員が、球に紐と重りをつけた“ノッカー要らず”の守備練習の商品を提案した。会議でそれ以上の意見が出ず、一発採用すると、試行錯誤を繰り返し、今では欠品になるほどの人気商品になった。

「否定をしない」という理念は指導にも通じている。吉村さんが監督をしている学童野球チームでも、失敗を責めない指導を実践。社員、子どもにもチャレンジする姿勢を促している。

 野球を取り巻く環境は今後も変化していくだろう。だが、どんな局面でも「フィールドフォース」のチャレンジが、新しい野球の形を届けていく。

【動画】動かせる“壁”を作ったら、瞬く間に人気商品に…

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