佐藤輝も柳田もねじ伏せる西武平良の凄み 26戦無失点も指揮官が抱える“ジレンマ”

気になるのは登板過多…すでに今季もチームトップの26試合

 日本を代表する強打者のソフトバンク・柳田が、最も苦手とする投手としても知られている。柳田との通算対戦成績は8打数1安打(打率.125)3三振1四球だ。

 昨季も開幕から10試合は、無失点どころか1本のヒットも許さなかった。昨年7月19日の楽天戦で浅村に初ヒットとなる適時打、さらに内田に満塁本塁打を浴び記録は途絶えたが、シーズントータルで防御率1.87をマーク。高卒3年目にして新人王に輝いた。ストレートが速いだけでなく、スライダー、チェンジアップ、カットボールを操り、クイックモーションも速い。侍ジャパンには未選出だが、東京五輪が開催されれば、これほど安定感のあるリリーバーを使わない手はないだろう。

 そうなると、懸念されるのは登板過多だ。ブレークした昨季は、ロッテ・益田と並びリーグ最多の54試合。今季もチームトップでリーグ3位の26試合(5月31日現在)に上り、打順の巡りを見て最も手ごわい打者が並ぶイニングに起用されるケースもある。本人は「とにかくゼロで戻ってくるのが目標」と一貫している。

 沖縄・石垣島出身で、八重山商工高3年の夏には県大会1回戦敗退。2017年ドラフト4位で入団した当初、173センチ、84キロ(現在は100キロ)の巨体を生かせるようになるには時間がかかると見られていたが、想像を超えるトントン拍子の成長ぶり。そんな剛腕に頼りたい、しかし故障させたら元も子もない……。辻監督は究極のジレンマに連日頭を悩ませている。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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