関学大のプロ注目左腕に意外な評価 最速151キロでも、スカウト「石川雅規みたい」
準々決勝で慶大を相手に5回5安打3奪三振4失点で敗退
全日本大学野球選手権の準々決勝が10日、神宮球場で行われ、第2試合では慶大が関学大に5-3で勝利。関学大の最速151キロ左腕・黒原拓未投手(4年)は、5回を5安打3奪三振4失点(自責2)でマウンドを降りた。しかし、ネット裏から熱視線を送ったNPB球団のスカウトは高い評価を与えていた。
「1番じゃなきゃ何番でも同じ。僕の実力不足です」。1964年以来、57年ぶり8強進出を果たしたが、目指していたのは日本一。東京六大学王者の慶大に屈した黒原は悔しさを滲ませた。
8日の1回戦では松山大を相手に7回を5安打8奪三振1失点。「リリースポイントが遠く、抜け球が多かった」と反省を口にしていたが、この日も修正できなかった。初回に失策も絡み2点を失うと、5回にも2死満塁で慶大の4番・正木智也内野手(4年)に押し出し死球を与えるなど2点を与えてマウンドを降りた。
「安定感に欠けたのが課題。立ち上がりの悪さと、抜ける球がまだ多い。そういうところがまだまだです」
本来の投球はできなかったが、スカウト陣はその修正力や投球術を評価。ヤクルト・橿渕聡スカウト育成グループデスクは技巧派左腕・石川雅規投手の姿と重ねた。「ウチの石川みたい。ボールは黒原君の方が威力ある。直球、カットボールと、カーブ、チェンジアップの緩急をうまく使えている」。
最速151キロの速球が武器だが、スカウト陣の目に留まったのは投球術。この日はスライダーの制球が定まらず浮いた球を痛打されたが、修正する姿勢も見られたという。
「調子自体は良くなかったと思いますが、悪いなりにチェンジアップを打たせたり、右打者の内角に投げ込むことができていたと思います」と橿渕氏は評価した。
今秋のドラフト上位候補は「またこの舞台に戻ってきたい」と誓った。秋の明治神宮大会で更に成長した姿を見せるつもりだ。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)