「引っ張った方が飛ぶ」 大谷翔平、本塁打王争いで試される“飛ばない球”への対応
今季17本塁打のうち14本が中堅方向、一発確信しながら中飛になった当たりも
大谷が語る通り、昨季までの通算47本塁打のうち24本が中堅方向。昨季までは本拠地エンゼル・スタジアム中堅から左にある名物「ロックパイル」付近へのアーチが目立った。今季の17本塁打も中堅方向が14本(右中間4本を含む)と多い。だが、レンジャーズ・有原航平投手と初対決した4月19日(同20日)の4回第2打席では本塁打を確信する一撃を放ったもののフェンス手前で失速。中飛に倒れ、「戻されたなというのが率直な感想です。当たり的には今シーズンの本塁打の中でもいい感じの打球だった」と振り返っていた。ハイペースで本塁打を放っているに見えるが、低反発球と戦っているようだ。
今季ここまで最も苦しんでいるのが左投手のスライダーだ。2019年は打率.308(26打数8安打)、2020年は打率.250(12打数3安打)と苦にしなかったが、今季は打率.040(25打数1安打)、1本塁打、13三振。他球団もその傾向が分かっているからだろう。今季、大谷へ左投手が投じた290球のうち球種別では最も多い108球(37.2%)を占めている。引きつけて逆方向へ打ち返すより引っ張った方が飛ぶ――。この意識変化が影響している可能性もゼロではなさそうだ。
それでも、これまで投打で高い修正力を見せてきた大谷だ。16日(同17日)のアスレチックス先発左腕アービンはスライダーを持ち球とし、救援のサイド左腕ディークマンらはスライダーを決め球としている。どのように飛ばない球に対応し、左腕スライダーを攻略するか。チームの上位進出の鍵を握っていると言っても良さそうだ。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)