お茶くみ廃止に進路指導… ポニー事務総長が自身のチームで起こす“変化のうねり”

今年からお茶当番を廃止「こういう無駄はなくしていかないと」

 市原ポニーが本拠地とする能満グラウンドは2015年にオープン。両翼90メートル、中堅110メートルのメイン球場、内野サイズのサブグラウンド、屋根付き練習場からなる。牧草地と竹藪だった土地を所有する近隣住人が「子どもたちのために」と無償貸与してくれた。草を刈り、竹を切り、土地をならすなど重機を用いた作業、フェンスや屋根を組み立てる作業も父兄の協力を得た、文字通りの手作りグラウンド。スコアボードの「BSO」カウンターは交通事故で破損したLED信号機の払い下げ。グラウンド周辺の草刈りは、有志の父兄が率先して担当してくれる。

 監督やコーチを務めるのは、チームの理念を理解しているOBもしくはOBの父兄だ。子どもに分かりやすく、ボディランゲージを交えながら指導。学年ごとに時間を割り振り、グラウンドをローテーションしながら無駄なく練習を進めていく。父母会長を務める橋本浩二さんは「子どもたちが野球を楽しんでいるのはもちろんですが、返事や挨拶といった人間教育や中学生らしくあることを重視してくださるので、とても助かります」と感謝する。

 進路相談にも親身だ。中学1年生から定期的に面談を行い、学校の成績も合わせて見ながら、今なにが大切なのかを考えてアドバイス。いくら野球が上手でも基本的な学力や考える力、一般常識がなければ社会では通用しない。経営者、そして先輩社会人としての視点も盛り込みながら、子どもたちが夢を追いかけるサポートをする。

 少年野球といえば、保護者が避けて通れない「お茶当番」。だが、市原ポニーでは今年から当番をなくした。「そもそも係が決まっている上に、お茶当番があるのは保護者にとって負担。1日中グラウンドにいても、何もやることがない時だってあります。監督やコーチは自分で飲み物や食事や用意できる。こういう無駄はなくしていかないと」と那須氏は説明する。

 その代わり、市原ポニーでは「マネージャー」という役職を置き、息子がチームOBの小出愛美さんが任されている。来客の対応や万が一の救急処置、道具の管理などを行い、時にはグラウンドで子どもたちに声を掛けることも。監督やコーチとは違った視点から、子どもたちの変化や状態を見守る姿は、チームの頼れるお母さん。子どもたちはもちろん、保護者たちからも「小出さんに頼っている部分は多いと思います。感謝しています」と信頼は厚い。

 毎月の月謝は遠征費を加えても6000円。それ以外に保護者の負担はほとんどない。それぞれの家庭に高額な出費を強いらずとも、チーム運営する方法はあると信じている。

 大きく変えるには、まず足元から。市原ポニーで成功事例を積み重ねながら、ポニー、そして少年野球界に変化の輪を広げていく。

(Full-Count編集部)

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