あえてど真ん中に直球投げて先頭被弾… 苦境の開幕投手が実験した「思いつき」

方法論に目を向ける「昨日とは違う自分になるために」

「継続しなきゃ、という考えを脇に置くことにしました。極端に言えば、昨日は昨日、今日は今日。どんどん新しいことを試していこうと。決して浮気性というわけじゃなく、昨日とは違う自分になるために何をすべきか考えました」

 もちろん、やり続ける正義は否定しない。指導者はよく「継続は力なり」を説くし、成功への定石でもある。反面、それで結果が出なければ「同じことばっかりやってるからだ。新しい視点も取り入れてみろ」とも言う。結果が全てのプロの世界で、結果論で語るほど容易く、残酷なものはない。だからこそ、福谷は方法論に目を向けている。

 新たなトレーニング法や感覚を試しながら、思考だけは“継続”。考えに考え抜いた先に訪れるという「思いつきを大事にしています」。蓄積されたデータの上にこそ閃きがあると説いた故・野村克也氏の著書からも学びを得る。

“継続から決別”したことで、視野の広がりも感じる。投手はいかに同じ動作で投げるかという「再現性」が問われるが、今の考えは正反対。「フォームは毎回違って当たり前。無限に広がっていると思います」。誤差をゼロに近づける作業より、必ず生まれる誤差への対応力を磨く。

 あとは、「結果」へと昇華させていく難題へと向かう。エースの大野雄が本調子でない中で開幕投手を任されたが、ここまで4勝6敗、防御率3.86。黒星先行の状況が続く。「勝てていないわけですから、もちろん焦りはあります。苦しい状況であることには間違いありません」。淡々と自らの立ち位置を分析した上で、あえて言う。

「結果が出ない中でどうするか。たくさんの学びもあります。結果以上に成長を実感できているので、1日でも早く結果につながれば」

 チームのため、ファンのため、何より自分のためにも。確固たる“解”を導き出すために、新たな発見を繰り返していく。

【動画】被弾が“兆し”に…福谷があえてど真ん中に投げた1球目

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