降板直後に「紙に書き殴る」 “博学右腕”が試みる長文発信「本当はしたくない」
家族が広島ファンから受けた心温かい対応も綴り、SNSで反響
だからこそ、拡散力を持ったメディア対応の重要さも認識する。その一方で、野球のことだけにとどまらないありのままの姿を届けるべく、新たなツールを持った。投稿の中には、感銘を受けた書籍の紹介も。さらに、今季開幕戦の応援に訪れた家族が広島ファンから心温かい対応を受けたエピソードも綴り、SNSで反響を呼んだ。
4月下旬から自身3連敗を喫した時も、欠かさず負けを振り返った。勝った時だけ投稿することだってできる。「本当はしたくない」。それでも、好奇心にも似た思いが執筆を促す。「“できるけどやりたくない事”ってどんなものなのか、というのか気になって」。曖昧な感情を文字に起こす事で気持ちが整理され、読者から「どんな思いで投げているのか知れてよかった」との声も届いた。
失敗からの学びは、誰かの役に立つことも少なくない。「自分のためだけで、人のためにならないことはやりたくないです」。今季はここまで4勝6敗、防御率3.86。負けが先行するが、淡々と文字に起こし、心と向き合う。慶大理工学部をトップクラスの成績で卒業した球界随一の“博学右腕”が示す、新たな選手像。尽きない向学心とともに、胸の内をさらけ出していく。
(小西亮 / Ryo Konishi)