鷹と虎による二保と中谷の交換トレード 両球団のチーム状況と思惑を読み解く
16年ぶりの優勝を狙う阪神は投手層にさらなる厚みを
こと“外野手”となると、柳田、栗原、長谷川、真砂、怪我で離脱中のグラシアルらがおり、決して層が薄いわけではない。それでも、1軍の戦力にもなり得る投手の二保を放出し、右打者の中谷を獲得に踏み切ったところに、ソフトバンクの現在のチーム編成の状況がうかがい知れる。
現在、セ・リーグで首位に立つ阪神はここに来てやや勢いを失いつつあり、巨人の追い上げにあっている。もともとチームのウリは投手力だが、16年ぶりの優勝を狙うためには、先発、中継ぎともにもう一回り厚みをもたらしたいというところだったろう。先発ローテは西勇、青柳、秋山、助っ人のガンケル、アルカンタラ、ルーキーの伊藤将と揃うが、この6人に続くのがチェンや2年目の西純とやや心許ない。
中継ぎも岩崎が調子を落とすなど、ここにきてやや不安が生じてきている。そこで先発、中継ぎ双方で投げることができ、ソフトバンクで出番に恵まれていない二保に白羽の矢を立てた格好だ。
一方で、中谷のポジションである外野には今季ドラ1ルーキーの佐藤輝が定着し、活躍を見せている。中堅の近本、左翼のサンズも不動の存在で、レギュラーは固まっている。現に、昨季は70試合に出場していた中谷の今季の1軍出場はなし。また、2軍には高山や板山、陽川らもおり、中堅クラスの野手はやや飽和状態。若い井上らも育ってきているという状況にあった。
阪神にとっては優勝を狙うための即戦力としての補強、ソフトバンクとしては即主力とまではいかないものの、チームの弱点を補うための補強。そんな思惑が見えるトレードではないだろうか。
(Full-Count編集部)