「楽しかった」と言えるために 元燕・由規が高校球児に伝える「悔いのない終わり方」
ご褒美をもらった時のようにもう1度、あのマウンドへ
僕も小さい頃から野球をやってきて、目標はいつも隣にありました。なんとなくやっているときって「なんで、こんなことやっているんだろう」というところに差し掛かる。
小学生の時は、上の学年が優勝し、間近に見ていて「僕らも優勝したい」「優勝したら次も」と、どんどん膨らんでいった。そんな気持ちでやっていて、気付いたら、ここまで来たか、という状況になっていた。最終的には周りの皆さんのおかげで少年野球で世界大会まで行けたんです。小さなところから全国大会、アジア大会まで行って、世界大会の決勝まで行くことができた。まるで漫画みたいな感じなんですけど……。
中学時代は、全国大会に行ったけど、負けてしまいました。高校ではもっと高いところまで行くぞという意識に変わりました。上手くいくことばかりではありません。特にリハビリの時はすごく思っていました。人によって感じ方は違うと思うけど、苦しいことの先にご褒美、大きいものがきっと返ってくると思って、その壁を乗り越えるようにやっていました。僕にとっては復帰できたことがご褒美だったのかな。
目標設定することでやる気も出るし、あえて、それを口に出していたような気がします。リハビリをしているときは「1試合でも1球でも神宮球場で投げるんだ」という気持ちだった。
今は、ただ野球がやりたいから、BCリーグに入ったわけではありません。もちろん、根本には野球が好きだからというのはあるから、続けていますが、NPBに戻りたいという“目標”がある。
また、ご褒美をもらった時のように、同じ気分を味わいたいから、次へと進む。今も「なぜNPBを目指すのか?」というとあの世界で野球をやれていることが最高の気分だからこそ、もう1回やりたいという思いでやっています。
(新保友映 / Tomoe Shinbo)