ノーノー途切れても志願の続投 初完封の鷹・レイが口にした“相棒”甲斐への思い
8回2死、炭谷に右前へ落とされ快挙はならず
■ソフトバンク 8ー0 楽天(12日・PayPayドーム)
ソフトバンクのコリン・レイ投手が12日、楽天戦(PayPay)で来日初の完封勝利を挙げた。8回2死から、炭谷銀仁朗捕手に右前打を許しノーヒットノーランの快挙こそ逃したものの、9回も自ら志願してマウンドに上がり、スコアボードに9つの「0」を刻んだ。
本拠地に集まった9957人のファンが期待した偉業はならなかったが、それでも来日して初の完封勝利だ。好投でスタンドを沸かせた。
レイが自分の無安打投球に気付いたのは、5回終了後のグラウンド整備時だったという。「6回のマウンドに上がろうとして、スコアボード見て気が付いた。達成したかったけど、無理だったね。でも一番大事なのはチームが勝つこと。それができて良かったよ」とレイ。
記録が途切れた8回を投げ終えた時点で、球数は124球に達していたが、9回も続投を志願して“人生初”の完封を狙いにいった。8回までと思っていたと言う工藤公康監督も「彼が『行けるのなら行きたい』というので『大丈夫?』って念を押して行ってもらいました」と笑う。前半戦ラストスパートに繋がる勝利に「それ(ノーヒットノーラン)に匹敵するナイスピッチングですよ。まっすぐもカットもコントロールが良かった」と手放しで称賛した。
来日初どころか、米国でのプロ生活でも記録できなかった完封勝利。全135球を受け止めた捕手・甲斐への感謝も忘れてはいない。自身初対戦の楽天に備え、バッテリーでは「序盤は『持ち味のストレートを活かしていこう』というプランを立てていた。途中からは『ストレートを狙ってきているので変化球を多めに』という話もした。そういうことができるのは甲斐の素晴らしい能力だと思うし、1試合のためにどれだけ時間を使って相手を研究しているのかも頭が下がる」と感謝しきりだった。
9回、最後の打者となった村林を二ゴロ併殺に打ち取ると、マウンドのハイタッチに戻る前に、一塁カバーに走っていた甲斐を待ってハグを交わした。「彼なしには今日の投球はなかった」という気持ちの表れだ。
遠い異国にチャンスを求めてやってきた右腕は、大記録こそ逃したがファンの記憶に残る好投を見せてくれた。レイのシーズン後半の快投に大きな期待がかかる。
(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)