敢えて投げた「少し抜いた直球」 “難敵”克服へ…プロ注目192cm右腕が見据える頂点
2種類の直球と精度を上げた変化球、打っては3安打「チーム引っ張っていく」
7割の力に抑えて低めに制球する第2の直球。走者を背負うまでは、130キロ台中盤の直球で内野ゴロを積み上げた。高須の代名詞は「身長192センチ」と「最速145キロ」。球速にはこだわりもあるが「以前なら1回の球速を見て、ガンガン力を入れて投げていたかもしれない。1週間で投げられる球数は決まっているので、できるだけ減らしたいし、体力も残していかないといけない」と直球に緩急をつける新しいスタイルを披露した。
唯一と言えるピンチでも、成長を見せた。2点リードの2回に、安打と盗塁で無死二塁を招いた。ここで浜名の5番打者を1ボール2ストライクと追い込みながら、三振を狙ったスライダーが真ん中に入って進塁打を許した。続く打者に四球を許して1死一、三塁。チームは1失点は想定した守備を敷いたが、高須は7番打者を2球で追い込むと、外角いっぱいのスライダーで見逃し三振に。バットを振らせなかった。
走者を背負ってからの投球が、高須の課題だった。今春の県大会では掛川西に準決勝で敗れた。3点リードの6回に3四球と2暴投。味方の失策も絡んで逆転を許して降板した。セットポジションになると球威が落ちることに加えて、直球も変化球も高めに浮いてストライクとボールがはっきりする弱点を露呈していた。2か月前から成長した姿を見せた高須。バッテリーを組む川端慶捕手も「変化球でストライクを取れたので余裕があった。修正、立て直しを春からの課題にしてきた」と手応えを口にした。
プロのスカウトから「体が大きいのに器用でセンスを感じさせる。大化けする予感がある」と評価を受けている高須。この夏は、2種類の直球と精度を上げた変化球で、1ランク上の投球を見せた。センスの良さは打撃にも。これまで8番で起用されることが多かったが、この試合は5番に“大出世”。1回に適時二塁打を放つなど、3安打をマークした。「自分がチームを引っ張っていくつもりでいる」。静岡で甲子園最多出場を誇る伝統校の中心選手として、プロ注目投手として、その力があることを証明していく。
(間淳 / Jun Aida)