球速アップの秘訣は“逆立ち” 168センチ左腕の成長促したドラフト候補右腕の教え

この日はベンチから試合を見守った畔柳享丞(中央)【写真:間淳】
この日はベンチから試合を見守った畔柳享丞(中央)【写真:間淳】

投手陣は「LINE」のグループでトレーニング方法を共有

 球速がアップした秘密のひとつが、チームの絶対的エースでプロも注目する畔柳も取り入れているトレーニングだ。中京大中京の投手陣は、無料通話アプリ「LINE」でグループをつくり、トレーニング方法を共有。その中で畔柳がチームメートに伝えたのが「逆立ち」だった。柴田も早速、取り入れた。空き時間に逆立ちを繰り返し「ボディバランスや体幹が鍛えられる」と効果を感じている。

 柴田の好投に応えるように打線も大量得点したため、初戦で畔柳の出番はなかった。選抜で右腕の違和感で降板し、春の県大会は登板なし。ただ、状態は問題ないという。この日はブルペンで30球を投げ、3回戦以降の登板に備えた。

 6月に実戦復帰3試合目となった選抜優勝校・東海大相模(神奈川)との招待試合で、直球は150キロを計測。さらに、関西(岡山)との練習試合では自己最速を1キロ更新する152キロと順調に仕上げている。さらに、直球を生かす武器も手に入れた。

「直球が主体なのは変わらないが、直球を狙われた時や球数を減らしたい時に変化球が大切になる。省エネ投球をテーマに、1球で仕留められる力がついてきた」

 畔柳は力のある直球で押す投球スタイル。奪三振も多いため、自然と球数はかさむ。選抜では疲労が残って最後まで投げ切れなかっただけに、「省エネ」の必要性を感じていた。最後の夏に向けて精度を高めてきたのはカットボールとチェンジアップ。直球を待っている打者に対し、カットボールでバットの芯を外す。チェンジアップはタイミングをずらすのに効果抜群。練習試合で手応えを掴んでいる。

「きょうは柴田の投球を安心して見ていた。甲子園に向けてチーム全員で勝ちに行く。大事な場面では自分が抑えるつもりでいる」と畔柳。チームメートの柴田が好投する姿に頼もしさを感じながら、エースの自覚を口にした。

(間淳 / Jun Aida)

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