157キロ右腕が投げなくても圧勝 「一戦決勝」の明桜がたどり着いた5度目の決勝

ノースアジア大明桜・輿石重弘監督【写真:荒川祐史】
ノースアジア大明桜・輿石重弘監督【写真:荒川祐史】

4個の盗塁で相手を翻弄「執念深く戦えた」

 4年ぶりの甲子園まで、あと1つ。全国高校野球選手権の秋田大会準決勝が21日、こまちスタジアムで行われ、ノースアジア大明桜が横手に11-0で快勝した。昨夏の独自大会も含め、5年連続の決勝進出。今秋のドラフト1位候補・風間球打投手(3年)を温存しての圧勝に、チームとしての成長を輿石重弘監督は感じている。

 打線が11安打の猛攻。投手陣も石田一斗内野手(3年)、栗城蓮投手(3年)、山本隆世投手(3年)の完封リレーで、横手打線から合計16個の三振を奪った。

 特に光ったのは、機動力。初回から果敢に盗塁を試み、4回2死二、三塁では、二塁牽制の際に三塁走者・石田一が本塁突入。合計4つの盗塁を奪い、横手のエース・佐藤陽永投手(2年)を翻弄した。「足を絡めて攻撃しようということで積極的にできてよかった」と、輿石監督も納得の表情だった。

 チームとして好不調の“波”を作らないことを意識させている。東北大会が6月に行われたため、夏の秋田大会との間は短かった。公式戦が終わるたびに一度調子を落としていては、命取りになる。春から夏にかけて戦い抜くためにも、前の試合を引きずらず、1試合ごとの成長を求める。常に決勝だと思って挑むという意味のチームスローガン「一戦決勝」には、1試合1試合を最後だと思って戦うという意図も含まれている。

 18日に行われた準々決勝の秋田戦では、延長10回にもつれ込む接戦で粘り勝ち。「執念深く戦えたかなと思います」と輿石監督は評価した。さらにこの日も、ナインの成長は随所に現れた。機動力だけでなく、エースの風間を温存し、背番号6の石田一が、6回11奪三振の好投。課題だった打線も、冬場にフリー打撃を3か所から5か所に増やした強化が奏効した。

 それでも、輿石監督は勢いに任せるのではなく、また1から試合に臨む。「きょうの勝利は忘れて、一戦一戦戦っていきます」。4年ぶりの甲子園の舞台を賭け、5回目の“決勝”は23日、秋田南が相手だ。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY