“中堅代役”近藤にミス、千賀は不安残る2失点…楽天に負けた侍ジャパン大丈夫?
不安残る千賀「自分の現状を把握することができた」
一方、“病み上がり”の千賀にも不安が募る。4月6日の日本ハム戦で左足首の靭帯を損傷した際、代表入りは絶望視されたが、6月17日の3軍戦で実戦復帰。出場辞退した菅野智之投手(巨人)、中川皓太投手(同)に代わって、伊藤大海投手(日本ハム)とともに追加招集された。しかしその後、7月6日に1軍のロッテ戦に先発し、3回途中9安打10失点と大炎上するなど、本来の投球は取り戻せていない。
この日の強化試合では、7回から2イニング登板。3-3の同点で迎えた8回2死三塁から村林、田中貴に連続四球を与え、ディクソンに真ん中に入った154キロ速球を中前へ弾き返され2点を失った。制球が定まらず、フォークだけでなく、カットボールやシンカーもワンバウンド。捕手の梅野が必死に体でボールを止めるシーンばかりが目立った。
「自分の現状を把握することができた。改めてまだまだな部分が分かった」と猛省。試合で42球を投じたのに続いて、終了後もブルペンで約40球を投げ込み、フォームのバランスの修正に努めた。「今の僕でも生かし方はある。きょう、それが見えた」と気丈に語ったが、結果を出せないまま五輪を迎える可能性がある。本来なら、先発はもちろん、豊富な経験のあるリリーフでも活躍が見込める投手だけに、五輪でどこまで復調できるかは、金メダル奪取の成否を大きく左右する。
稲葉監督は試合後、栗原陵矢外野手(ソフトバンク)と近藤の居残り特打を見守っていたが、突然自らバットを握って打撃ケージに入り、現役時代をほうふつさせる鋭い打球を連発。最後は右翼席へ柵越えも放った。「ギータが打席に立てないなら俺が──」というわけではないだろうが、思うに任せないストレスを振り払うかのように、一心不乱にバットを振る姿が印象的だった。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)