日本ハム栗山英樹監督が見せたリスク管理術 外野の穴を埋め、新クローザーは復調

新クローザー・杉浦稔大には“大型連休”を与え復調へ導く

 一方、投手陣を見れば、チーム防御率3.61がパ・リーグ4位と競争力を保てている印象だ。開幕ローテーションに抜擢したルーキー・伊藤大海はリーグ3位の防御率2.42。チームトップの7勝(4敗)を挙げる大活躍で、東京五輪を戦う日本代表にも追加招集された。他にも上沢直之がチームトップの97イニングを消化し6勝(4敗)。加藤貴之と合わせ3投手が規定投球回を満たしている。

 弱いのは救援で、昨季のチーム25セーブはリーグ5位。それが8投手に分散して付き、確固たる抑え役が不在の状況だった。今季はそこに杉浦稔大投手を据え、責務を十分に果たしている。

 杉浦は昨シーズン終盤からクローザーに抜擢され、今季は開幕から重責を担った。150キロを超える直球の威力と、奪三振能力が魅力の投手だ。ただヤクルト時代から右肩に故障歴があり、昨季前半までの先発時代も、登板間隔を広めに空け起用してきた。連日登板が続くこともある抑えを務めるにあたって、起用法が注目された。

 紆余曲折はあった。4月21日のロッテ戦(ZOZOマリン)で岡大海にサヨナラ本塁打を浴びるなど、4月後半になると打ち込まれる場面が目立つようになった。この時点で7セーブを挙げていたものの1敗、防御率は4.63まで悪化していた。栗山監督は思い切って、4月29日に登録抹消を選択した。

 抹消期間の杉浦は2軍での調整登板を経ることもなく、5月11日に1軍復帰。しっかり休養を取らせたことが功を奏したのか、五輪中断を迎えるまでにリーグ3位の16セーブ、防御率も2.93まで良化した。再登録後の19試合で見れば、防御率は1.89という安定感だ。指揮官が杉浦に与えた“大型連休”は杉浦の5月病を防ぎ、一つステップを上らせたと言えるだろう。

(Full-Count編集部)

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