大谷翔平、投手ヘッスラも「抵抗ない」 泥だらけ5勝目から溢れる“愛されるワケ”
初回先制打→牽制球で泥だらけ→二盗成功→本塁生還
■エンゼルス 6ー2 ロッキーズ(日本時間27日・アナハイム)
エンゼルスの大谷翔平投手は26日(日本時間27日)、本拠地のロッキーズ戦でメジャー自己最多5勝目を挙げた。「2番・投手」で出場し、7回5奪三振無四球、5安打1失点と好投。打撃では初回に先制の右前適時打を放ち、これが決勝点となった。4打数1安打1打点1盗塁で打率.277。チームは6-2で3連勝を飾り、貯金1とした。
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まるで高校球児だった。自らの先制打が飛び出した直後の初回無死一塁。大谷は再三の牽制球でヘッスラ帰塁し、真っ白なユニホームを土で汚した。1死後、今季14個目の盗塁となる二盗を決める。チーム2点目となるウォルシュの適時打を呼び込んだ。
「自分自身が長く投げるためにも点を入れた方がいい。もう1点入れられるシチュエーションなので。自分がしっかり二塁に進むことの方が自分が投げていく上では重要なこと」。初回無失点の立ち上がりを見せ、初回攻撃で2得点に絡む。「ザ・大谷翔平」と言うべき衝撃の15分だった。
チームの勝ちを求めて、常に全力プレーする。投手のヘッスラ帰塁も「抵抗はないですね」。仮に日ハム時代にやっていれば、恩師の栗山監督は激怒していただろう。周りから見れば故障の危険性を感じさせる危なっかしいプレー(もちろん本人は怪我しない自信があると思う)。だが、これも多くのファンが大谷から目を離せなくなる魅力の1つだろう。登板時の盗塁は日米通じて初めてだった。「特に変に意識することもないです。その(走塁の)せいで打たれた、リズムが崩れたとかは特にないかなと思います」と言い切った。
160キロ超の剛速球を武器とする投球も力勝負は二の次。相手打者を冷静に分析し、常に勝つ確率を探る。「今日は2ストライク後に“変化球ケア”をしてるのかなという雰囲気が出ていた。そこでムキに真っすぐで三振を取りにいくのではなくて。今日はスライダーも良かった。狙われていても、しっかり投げ切れば打ち取れる」。最大の勝負球スプリットに頼らず、自ら「3番目、4番目」と言うスライダー、カットボールを使ってロッキーズ打線を沈めてみせた。
初回の大暴れからガス欠を感じさせずに今季最長タイ7回を投げ切った。しかも最後の99球目で、この日最速99.7マイル(約160.5キロ)を出した。「最後の回もしっかり球速も出ていましたし、体力もそれなりに残っている状態でフィニッシュはしている。球数で代わることはありますけど、最後まで自分のペースで出来ていたかなと思います」。まだまだ底知れぬポテンシャルを感じさせるメジャー自己最多5勝目となった。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)