“出場機会なし”も京都国際主将は「100点満点」 大阪桐蔭の背番号「14」に学んだ姿勢
目指すは甲子園での出場「いつでも準備はできている」
「風が吹いていたので、レフト方向へ引っ張ってもいいぞ」。
1ボールからの2球目。中川がフルスイングした瞬間、京都外大西ナインは誰1人、1歩も動かなかった。左翼スタンドへの完璧な2ラン。これで逆転し、流れは京都国際に傾いた。
5回に1番・武田侑大内野手(2年)の本塁打で6-4。試合は9回へ入り、初めての夏舞台へあとアウト3つとなった。しかし、エース・森下瑠大投手(2年)が二塁打と四球で同点のランナーを背負う。1死二、三塁で山口がマウンドへ向かった。「1つ1つアウトを取ればいいから」。落ち着きを取り戻した森下は後続を見事に打ち取った。
京都国際にとって、初めての夏の甲子園。「強い気持ちを前面に出していたら、最後、あんな風に結果を出せると思う」と山口は夢舞台であることを思い描いている。昨夏の交流試合で東海大相模(神奈川)と対戦した大阪桐蔭の藪井は8回の守備から途中出場。2-2の同点で迎えた8回裏。甲子園での最初で最後の打席で決勝の2点適時打を放っていた。
「いつでも結果を残せる準備はしているつもりなので、甲子園でチャンスがあれば薮井さんのようにチームを助ける仕事をしたい」。チームに尽くしてきた主将の最後の夏。野球の神様は最高の舞台で微笑んでくれるはずだ。
(市川いずみ / Izumi Ichikawa)
市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。