「ちょっと器が違う」監督も唸る近江2年生“二刀流”右腕 初の甲子園は「通過点に」
目標は「高卒でプロ」、甲子園は「通過点にしたい」
2年生右腕の闘志あふれる投球で聖地への切符を掴んだ。全国高等学校野球選手権の滋賀大会決勝が29日、皇子山球場で行われ、近江が立命館守山を6-0で下し、3大会連続15回目の夏の甲子園出場を決めた。
先発した山田陽翔投手(2年)は6回を投げて被安打1、8奪三振2四球の好投で立命館守山打線を寄せ付けなかった。「少し力んで浮くところはあったんですけど、(捕手の)島瀧さんが『力抜いて投げてこい』と大きく構えてくださったので、投げやすかったです」と先輩への感謝を述べつつ、試合を振り返った。
春季県大会3回戦で立命館守山に2-3で敗れていた近江。その試合にリリーフで登板し、同点に追いつかれる適時打、勝ち越しのスクイズを許していたのが山田だった。
リベンジに燃え、挑んだ決勝。序盤は立命館守山のエース・北村怜士投手(3年)と投手戦を展開。それでも「先制点を与えないことを意識していました」と140キロ台の直球を軸に打者をテンポよく打ち取っていった。5回1死から川崎央太郎内野手(3年)に左翼への二塁打を打たれるまでは無安打投球。ほぼ完璧な内容だった。
「あの負けから苦しい練習が沢山あって、ようやくこの勝ちに繋がって素直に嬉しいです」とホッとした笑顔を見せるが、マウンド上では打者を睨みつけるような鋭い眼差しで、鬼気迫る投球を見せた。
今大会は投手として21イニングを投げ、27奪三振1失点(自責0)。投げていない時は右翼の守備に就き、2年生ながら4番も務める“二刀流”だ。近江の多賀章仁監督も、山田については「ちょっと器が違う」と評価している。
「リングに上がる前のボクサーのような。彼の闘志というものは凄まじい。こういう決勝戦の特別な舞台で、2年生でありながら、ピッチャーで4番というのはなかなかやれない。凄い子ですね」
そして挑む、初の甲子園。昨年の独自大会を制した先輩達の思いも背負う。「初めて行く場所なんですけど、夢の舞台というよりかは僕の中では通過点にしたいと思っています。ようやく出れるのは楽しみです」と語った右腕。目標は「高卒でプロ」。夢を叶えるため、聖地での活躍を誓った。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)