侍J平良は「もう弟ではなく師匠」 “兄貴分”の元西武守護神が驚愕した研究熱心さ
性格は“マイペース”、五輪でも「緊張しないのでは」
この剛腕は普段どんな性格なのか? 高橋氏に聞くと「マイペース!」と即答した。「何をしていても、何を言われてもブレない。グラウンドに他の選手がそろっていて、『練習始まるぞ!』と言われても、普通に自分のペースでトコトコ来たりします。『すみませ~ん』みたいな感じで悪びれない」と笑う。穏やかな離島で育ち、“超体育会系”でない雰囲気で野球を続けてきたからとも思われるが、高橋氏は「いや、超体育会系にいたとしても、あいつはあのままですよ。それくらいブレない自分を持っている」と断言する。
一方で「話をしていると、ニコーッと笑ってくれたり、いろんな表情をしてくれるので、うれしいですよ」と、平良の憎めない魅力を付け加えてくれた。
「足は速い方ではないし、体力もある方ではない」と高橋氏が言う通り、キャンプなどでランニングメニューをしていると、平良だけが周回遅れになっていることもある。高橋氏は「それ以上飛ばしたら、自分がしんどいとわかっているのではないですか?」と笑いつつ、「問題はいかに投げるパフォーマンスにつなげるか──ですから、そういうことは構わないと思います」と見ている。
そんな平良だから、初めて選出された日本代表でも緊張で力を発揮できないといった心配はないかもしれない。「多分、緊張はしないのではないですかね。外国人打者に自分の球が通用するかどうか、すごく楽しみにしていると思います」と高橋氏。「オリンピックでは無双してほしい。1人だけ打たれないとか。『やっぱり平良ってすげーな』って西武ファンだけでなく、全国のファンに知ってほしいですよ」と期待する。
高橋氏は「今はもう弟ではなく、“師匠”だと思っています。そりゃそうです。『あんな凄い記録、作ってみろ』と言われても無理ですから。図々しく兄貴面はできません」。高橋氏はそう謙遜する。だが、マイペースぶりを温かく受け入れ、かわいがってくれる先輩がいたからこそ、右腕はすくすくと育つことができたのではないだろうか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)