西東京V東海大菅生・若林弘泰監督が明かす 敵将との“素敵な”ライバル関係

甲子園出場時に毎試合メールで「頑張れよ」、コロナ期間中も頻繁に練習試合に誘った

「(国学院久我山は)本当にいい野球をする。これからも甲子園に行くチームだと思う。そう簡単に甲子園に行かせては困るな、と。だから、壁になりたいなと思っています」と面目を保ったが、西東京でしのぎを削る同じ野球人の後輩として、若き指揮官をずっと気にかけていた。

 東海大菅生が19年の準決勝で敗れた後、若林監督は初めて決勝の舞台を戦う当時29歳の若き指揮官に「頑張れ。決勝に行っただけではダメだぞ」と、メールでエールを送った。創価を3-1で下し、国学院久我山が28年ぶり夏の甲子園を決めたときも「おめでとう。(甲子園に)行くだけではダメだぞ」と、再びメッセージ。その度に、尾崎監督から返事の電話を受けていたという。

 若林監督は明かす。

「毎回、律儀に電話してきてくれてね。(2019年夏は甲子園で)『ベスト4を超えます』と言ってきたから、『馬鹿野郎』って言い返したよ(笑)」。東海大菅生が2017年に進出した“4強超え”宣言を一笑した。

 その後も、交流は続いた。新型コロナウイルスの影響で県外との練習ができない中、グラウンドが他の部活と共用の国学院久我山を何度も練習試合に誘った。そんな若林監督のことを「うちが勝ったときは背中を押してくれて、困ったときは手を差し伸べてくれる存在。本当にライバルだと思っている」と、尾崎監督も慕っていた。

 試合後、「尾崎くんは仲良くて、よく寄ってくるんですよ。寄って来なくていいんだけどね」と最後まで冗談は尽きないのも認めている証であり、ベテラン監督の愛情でもある。「一戦必勝で頂点を目指したい」。この夏、ともに苦しんだ西東京のライバルたちの思いを胸に甲子園で活躍することを誓った。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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