甲子園開幕順延も「感じることができた」 室内練習場で各校ナインが感じたメリット
初出場・東明館は「甲子園を感じることができた」静岡は室内練習までシミュレーション
2年ぶりに開催される夏の甲子園・全国高校野球選手権は、台風9号の影響で開幕が1日延び10日となった。9日には、この日開幕戦を迎えるはずだった6チームが、甲子園球場のすぐ隣にある室内練習場を使い汗を流した。コロナ禍によって観客も制限され、取材も全てオンラインになるなどの制約がある今大会。加えての日程順延にも、各校の選手、監督からは前向きに捉える声が多かった。
多くの選手が語ったのは「雰囲気を経験できた」という利点だ。コロナ禍の影響で、例年事前に行われる甲子園練習はなし。試合日の“ぶっつけ本番”を不安視する声が多かった。10日の第3試合で日本航空(山梨)と対戦する東明館(佐賀)は、春夏通じて初出場。豊福弘太監督は「室内練習場でも甲子園を感じることができてよかった」と話す。この日は守備練習を中心に行い、「接戦の中でワンチャンスをものにできたら」と初出場初勝利を目指す。
米子東(鳥取)と開幕戦を戦う日大山形・佐藤拓斗主将は、移動中に球場を見ることができた。「大きいなというのが第一印象。甲子園球場の室内ということで、緊張あったと思うんですけど、良い表情でみんなできていた」と満足げだ。この日は打撃練習が中心で、荒木準也監督も「前日の段階で順延がはっきりして、良い準備ができた」と進撃に期待を込める。2013年には山形勢初の夏の甲子園ベスト4入りしており、当時と同じ「守りのチーム」で、開幕戦に挑む。
先に万全の準備を整えていたのは、2大会連続26回目の出場となる古豪・静岡だ。2年ぶりの甲子園とはいえ、3年生には2年前にグラウンドへ降りた経験がある選手もいる。フェンスまでの距離やファウルエリアの広さを選手らで共有、室内練習場の大きさも事前に知っていたため、学校にいるときから本番会場に合わせた練習を行ってきた。金子裕人主将も「試合への準備は整っている」と、自信をみせる。県内の熱海市が、7月上旬に土石流で甚大な被害を被っており「多くの人たちの気持ちも背負って戦っているので、結果で返したい」と、地元への思いも口にした。
多くの選手、監督がこの順延さえも前向きに捉えていた。室内練習場での調整を終え、甲子園を肌で感じた6校は10日、2年越しの思いを込めて試合に挑む。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)