バッテリーを組む森のサインに何度も首を振り… プロ初勝利の西武渡邉が見せた“度胸”
5回のピンチで「絶対に後悔したくなくてカットボールを投げたかった」
この回限り76球で降板。首脳陣からは「どうする?(6回も)いけるか?」と続投を打診されたが、「『疲れました』と言わせてもらいました」と屈託のない笑顔を浮かべた。
埼玉・浦和学院高時代に甲子園を沸かせ、ドラフト2位で西武入り。1年目の2019年、この年に巨人から移籍してきたベテランの内海哲也投手に“師事”した。元巨人エースで既に功成り名を遂げた内海が、故障に苦しみながらも黙々と練習に取り組む姿に、プロの何たるかを見た。「技術的な話はあまりしませんが、私生活の送り方などを教えていただいています」と言う。
「内海さんが先発する時、自分はいつもメッセージを入れるのですが、(プロ初先発のこの日)内海さんからは来なかったです。ちょっと寂しいですね」と茶目っ気たっぷりに笑い、「内海さんと一緒に先発ローテで回りたいです」と目を輝かせた。
そして「自分らしさを貫いて、内海さんのような偉大な選手になりたい。周りに流されず、信念を持って、地道に一歩ずつ成長していくことが、自分らしさだと思っています」と、もう1度内海の名前を出した。
今年6月に1軍初昇格。まずはリリーフで8試合に登板し、先発のチャンスをつかんだ。辻監督は「今日は味方があれだけ大量点を取ってくれて、楽に投げられたのではないか」と釘を刺した。内海がそうだったように、実績と背中でチームを引っ張る“エース”になるには、まだまだ勉強することがたくさんありそうだが、その資質は十分持ち合わせている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)