「逆転って一瞬」 レジェンド上野由岐子が説く“準備力”…生きた教材たる理由
リーグ戦後半開幕節の6回から登板、2イニングを盤石の無失点
13年前の北京五輪に続き、東京五輪でもソフトボール日本代表の金メダル獲得の原動力となった上野由岐子投手(ビックカメラ高崎)は、周囲の選手たちにとって“生きた教材”だ。日本リーグ1部の後半開幕節が5日、神奈川県の大和スタジアムで行われ、上野はHonda戦で2点リードの6回から登場。2回1安打無失点で、勝利に貢献した。その存在感は、やはり登板前から格別だった。
ビックカメラ高崎はこの日、上野に加え“投打二刀流”の藤田倭、中堅の濱村ゆかり、若手の櫻井彩夏、勝股美咲と5人の投手をベンチ入りさせていた。岩渕有美監督は「後半開幕なので、基本的には全員の投手を使いたいと、各投手に伝えてありました」と明かす。
これに対して上野は「ウチは誰が使われてもおかしくない投手陣。ひとりひとりが、名前を呼ばれた時にベストパフォーマンスができるよう準備しておくことが課題です。監督とのコミュニケーションも大事ですが、自分で試合の流れを読みながら準備することも、大事だと思っています」と選手としての心得を説く。
東京五輪の決勝・米国戦では、6回に20歳の後藤希友(トヨタ自動車)のリリーフを仰いだ上野。「後藤は顔面蒼白で、逆に自分がやってやるんだという気持ちを奮い立たせてもらいました」とも。7回に再登板し、見事胴上げ投手になった。
この日、ビックカメラ高崎の先発は藤田で、初回にいきなり先頭打者初球本塁打を被弾。2回にも先頭の6番打者にソロを浴び、2回2失点で早々と降板した。2番手の濱村は、3イニングで3安打を許しながらも、なんとか無失点でしのいだ。