33打席連続無安打の阪神・佐藤輝明 8月下旬から急降下している数字とは?

相手バッテリーのコース別の投球比率でも変化が…

 コース別の投球比率も見てみたい。8月半ばまでは低めを中心に、割と満遍なく配球されている。比率で見れば、ややインコースが多めだ。だが、8月20日以降で見ると、明らかに配球のバランスに変化が見て取れる。真ん中のゾーンに次いで、多く投じられているのインサイドのボール球。ボールゾーンにも関わらず、全体の配球のうち22.2%が投じられている。

 そして、インコースボールゾーンに続き3番目に多いのは外角のボールゾーンで計20.4%。このゾーンはコンタクト率も低く、佐藤輝が苦戦を強いられているエリアでもある。そして、内外角問わず、ゾーン内に投じられる比率はここに来て低下している。

 これらのデータから推測されるのは、佐藤輝は相手バッテリーから内角をえぐるボールゾーンの投球で厳しく突かれて意識させられた上に、そこから遠い外角へのボール球で幅をつけて攻められているということ。こうした攻め方によってバッティングを崩され、本来の姿を見失ったことで、これまでコンタクトできていたゾーン内にくるボールでさえ空振りするようになってしまっているのではないだろうか。

 ここまで23本塁打を放ち、阪神の首位快走に貢献してきた佐藤輝にとってはプロ1年目で訪れた最大の試練だろう。ただ、弱点を徹底的に突き、打撃を崩しにかかるのはプロ野球の常。真の強打者となるためには、この壁に立ち向かい、乗り越える必要があるだろう。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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