なぜ打率1割の“守備職人”が全国舞台で首位打者に? 慶大・渡部遼人に起きた変化

昨秋の悔しさから、打撃改革に着手…正木からのアドバイスも

 身長170センチ、68キロ。野球選手としては小兵だが、1年春からリーグ戦に出場。50メートル走を5秒9の俊足を生かした広い守備範囲で、チームのピンチを幾度も救う守備職人は、打撃面が課題だった。

 昨秋は全試合に出場するも、打率1割台に終わり、冬の期間は打撃改革に着手した。ボールを遠くに飛ばすことを一丁目一番地のテーマに設定。グリップを体の近くから出し、その後にヘッドが出てくる「インサイドアウト」の意識も大事にした。中学時代のチームメートでもある主砲・正木智也外野手(4年)にもアドバイスを受けながら練習に励んだ。

 春は打率.265。「思うようなスイングができてきた」。手応えが結実したのが、六大学王者として臨んだ全日本大学野球選手権。16打数9安打、打率.563の大活躍で、首位打者賞に輝いた。

 全国の舞台での活躍に自信ををつけ、森田晃介投手(4年)、正木とともにプロ志望届を提出。「野球を始めてきた中で、日本で1番レベルの高いところでやってみたいという気持ちがあったので、目指すなら高いところを目指したい」と口元を引き締める。神宮のグラウンドを駆け回り、実りの秋にする。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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