「うちで1番すごい」妹は甲子園胴上げ投手 帝京大・島野が感じた悔しさと原動力
妹は女子史上初の甲子園胴上げ投手・島野愛友利、優勝後ラインで「おめでとう」と送った
大阪・履正社高時代は、2年時の2019年夏に甲子園で日本一。連覇を狙った2020年は新型コロナウイルスの影響で、春夏ともに日本一を目指す甲子園がなくなった。失意の底にいた島野に声をかけたのが、帝京大の唐澤良一監督だった。
「熱心に誘ってくださったので、帝京大で一花咲かせたいなと思いました」
履正社高時代から、木製バットで練習していたため、大学に入ってバットの違いで苦しむことはなかった。一方で、大学生が投げるボールのキレや変化量には苦戦。対応するために変えたのは考え方だ。
「大振りしてしまうことがあったので、直球は三遊間にゴロを打つような意識にしました。唐澤監督から『ゴロを意識しててもゴロにならず飛んでいくから』と言われていたので」。その言葉通り、この日放った2安打は共に逆方向。「イメージ通りにできたと思います」と、納得する。
3兄妹の次男で、妹は神戸弘陵高(兵庫)女子野球部のエース・島野愛友利だ。中学生の頃から女子野球界のスター。2019年には大淀ボーイズ(大阪)に所属し、中学硬式日本一を決めるジャイアンツカップで胴上げ投手となったのに続き、今年8月23日には初めて甲子園球場で行われた第25回全国高校女子硬式野球決勝でも、胴上げ投手の栄冠に輝いた。
甲子園の決勝後、ラインで「おめでとう」とメッセージを送った。妹の快挙に嬉しい気持ちも、複雑な気持ちもある。「中学と高校で日本一になって、うちで1番すごい。でも、やっぱり悔しい部分はあるので、負けないように頑張っています」。悔しさも糧に練習に取り組んで、この日の結果につなげた。あくまで自分は自分。“島野圭太”として、大学で一花咲かせる。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)