評判が広がり野球用具メーカーが商品化 汗と蒸れから解放される“包帯パンツ”とは
開発者が世界のパンツを履きまくってたどりついた「課題」
しかし、そこからの道のりは険しかった。スポーツのパンツの開発に取り掛かるも、何を作ったらいいのか全く分からなかった。最初にやったことは「世界中のパンツを買い漁って履く」ことだった。世界各国を回り、高級パンツを購入することもあった。その数は数千枚を超えた。スポーツのパンツは「汗」を克服することにあると確信し、開発のテーマが決まった。
汗で気持ち悪くなる原因。それは通気性の悪さにあった。そこで野木さんは、通気性の良い素材を集めて、スポーツパンツの開発に取り掛かったが、合成繊維で作らないと強度が弱くなるという問題点にぶつかった。ナイロンやポリエステル等の合成繊維を使用した糸は汗を吸わないため、「つなぎ目のないパンツ」のように汗の不快感の原因となってしまう。テーマである「汗」の問題解決に時間がかかり、開発を断念する手前まで追い込まれた。
2004年6月、「もう無理や」と諦めかけていた野木さんのもとに、父がタンスから「包帯」を出してきて手渡した。これがきっかけとなり、開発は再び動き始める。包帯素材は元々、傷口に使用するため肌にも優しく、通気性と強度にも優れている。開発までいくつもの壁を乗り越え、2007年2月、待望の「包帯パンツ」が完成した。
こうして、2008年の展示会を迎えることになるのだが、この甲冑のデザインには「男が勝負するときに気合いが入るように」という野木さんの思いが込められていて、文字通り「男の勝負パンツ」として戦国武将の甲冑をイメージしたデザインが施されている。それが勝負師たちの心を打った。
汗や蒸れからの解放で、野球をはじめ、多くのスポーツ選手から愛されている。高いレベルの選手のこだわりは、下着にも隠されていた。