“球界最強”の同級生に「負けないように」 肘の手術から復帰したオリ右腕の誓い

昨年10月に実戦復帰、支配下に戻り今年5月に1軍デビューした

 トミー・ジョン手術から試合復帰までの道のりは、長くて地味だ。肘の可動域を広げるリハビリから始め、ボールを握り、軽めのキャッチボール。平地で距離を伸ばし、傾斜のついたマウンドから投げるようになるまで数か月を要する。状態は大きく前進したかと思えば、また後戻り。一進一退を繰り返しながらも、着実に歩を進め続けた。

 この間、戦力外通告を受け、育成選手として再契約。2桁だった背番号は3桁に増えたが、やることは変わらない。再びマウンドに上がる日、そして1軍デビューを果たす日を目指して練習を続けるのみだ。以前よりも野球と真剣に向き合い、いろいろな人の話に耳を傾けながら、トレーニング方法や投球フォームの研究を重ねた。

 実戦復帰したのは、手術から約14か月後の2020年10月、阪神との2軍戦だった。同年12月には再び支配下選手として契約する幸運に恵まれ、背番号は再び「63」に戻った。

 今季は2軍で開幕を迎えたが、4月27日に1軍初昇格。5月1日のソフトバンク戦で念願の1軍デビューを飾り、1イニングを無失点に抑えた。ここまで6試合に登板し(5先発)、勝利はまだない。6回1失点と好投する日もあれば、2回5失点と打ち込まれる日もある。課題は山積みだが、今はとにかく野球が楽しい。

「肘を怪我する前は、少し野球に疲れてしまったところもあって、キャッチボールですら面倒臭いと思う時期もありました。でも、肘の手術を受けた後、ボールを投げられない期間が長く続いて、早く投げたいという気持ちが出てきた。実際にまたボールが投げられるようになってから、本当に野球が楽しいです。投げられる幸せを改めて実感しています」

何歩も先を進む同級生・山本由伸「すごいところまで行っているので…」

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